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2015年04月13日

本気度への挑戦


奈良佐保短期大学への入学を許可された皆さん、ご入学、誠におめでとうございます。満開の桜とともにみなさんを歓迎いたします。皆さんがこれからどの様な学生生活を展開されるのか、非常に楽しみでございます。生活未来科には、中国の大連大学と中国閩南師範大学から3名の交換留学生が入学いたしました。慣れない日本での学生生活を周りから支えていただき、お互いの国の伝統や文化、習慣などについてグローバルな視野を広げる機会としていただくことを大いに期待するところでございます。

正面緞帳の上部に奈良佐保短期大学の徽章が縫いこまれています。奈良の都のシンボルである八重桜を外側の輪郭とし、内側は、中国、唐時代の八稜鏡が二重におさめられていますが、この鏡は、人としての手本や模範を意味する鏡でございます。本学は、奈良女子大学の前身である奈良女子高等師範学校の同窓会「佐保会」によって創設されて以来、84年の歴史があり、この徽章は、奈良女子高等師範学校の徽章を参考にして作成されたものでございます。また、右前方に張り出されています本学のシンボルマークは、奈良佐保短期大学のイニシャル、NとSをモチーフにして、スクールカラーの茄子紺を基調としてデザインされたもので、奈良佐保短期大学の伝統と、若葉の間から陽が昇る未来とを示しています。このデザインは、両手で大切なもの包みこむようにも見え、曲線から、羽ばたく躍動感を見ることができます。これは、本学の建学の精神および教育理念にある自己と他者を尊重し、教養見識をもって自ら羽ばたき、社会に貢献する行動力を同時に表現しているものでございます。

入学生の皆さんには、この徽章やシンボルマークに込められた意味を心に刻んで、これからの学生生活を実りあるものにしていただきたいと願っています。

皆さんは、保育士や幼稚園教諭、栄養士、介護福祉士などの専門職者になるために、また,ビジネスに不可欠な新たな発想力や創造力を身につけて社会に貢献するために、あるいは学びを深めてさらなる進学に備えるために、教養を高めて資格を取得しようと、本学に入学して来られたことと思います。

しかし、実習等も含めて,2年間の学びは厳しいものがあります。常に2年先を見通して学生生活を送ること。将来どのような自分で在りたいのか。具体的な自分像を描き、それを引寄せるための学びを今始めようとしていることを、しっかり胸に止めていただきたい。そのためにも、今一度、自分を見つめ直してみてください。自分が目指している将来像について、なぜそれを目指そうとしたのかを再認識しながら、自分とはどのような人間なのか、ありのままの自分と向き合い、自分の本気度を確かめてください。

その本気度が薄れて、楽な方へと流されたり、資格取得を諦めたりするなど目標を見失しなってしまうことがないように、自分をどのようにコントロールするのか。この2年間は自分との戦いなのです。

卒業式の答辞で、家族をはじめ多くの人に支えられて、やる気がなくなりくじけていく自分の心を克服して、目指していた保育士資格を取得することができたと、その喜びを語った学生の涙には、自信と誇りが感じられました。

大事なことは、自分から逃げない。自分に言い訳しない。他人の目を気にしないで、一生懸命に、真剣に努力することです。

皆さんの目指すのは、人が健やかに自分らしく「生きる」ことをサポートする職業に就くことなのでしょう。そんな夢を持つ皆さんが、「真面目に誠実に生きる」ことから逃げ出さないでほしいと思います。

「本当の自分、ありのままの自分を出せる、出してもいい環境が、この佐保にはある。」と語った学生がいました。もちろん本学には、学生一人ひとりのありのままの姿を受け入れ、共に成長する「ほっとかない環境」があると自負していますが、私は、この学生の人間としての大きな成長が、そのように言わせたのだとうれしく思っています。

要領が悪くて不器用な自分をさらけ出すことを怖がらない。本学には、自分をさらけ出しながら何かをしようと燃えている人が近づけば、誰かが一緒に燃えあがってくれる環境があります。物事をなすためには自ら燃え上がり、そのエネルギーを周囲にも分けられる人間、自己や他者を尊重し、物事に共に関わりながら社会に貢献する人間、へと成長されることを期待しています。

自分が目指した将来像に向けて、必ず実現してみせるという強い意志が、自分の能力を最大限に引き出し、将来像を可能にする原動力になることを忘れないで下さい。

大学では、与えられたものに答えを出すだけではなく、「なにが課題なのか」、自分で問いを設定して、分からないものに飛び込み、学ぶことで、できないものができるようになり、自分で考え、答えを見つけ出せるようになる。それが大学における学び方だと言われています。また、いろいろな壁にぶつかった時、それを乗り越えるエネルギーを身につける場でもあります。失敗など自分だけで越えられないような時は、周りを見てください。きっとあなたが必要としていた人、また、逆にあなたを必要としている人が見えてくるはずです。自分のことをなんでも話せる人との出会いを始めの一歩として、人の輪を広げていってください。

これからの人生で、自分を励まし支えてくれる「素晴らしい思い出」が心に残る、そのような大学生活となることを祈って、お祝いの言葉といたします。

(入学式式辞より)