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2017年04月04日

歓迎の言葉


奈良佐保短期大学への入学を許可された皆さん、ご入学、誠におめでとうございます。
生活未来科71名、地域こども学科81名、日本語教育別科にはバングラディシュからの留学生2名と、本学と交流協定を結んでいる中国の大連大学や中国ミン南師範大学から6名の交換留学生も入学してきております。
留学生たちの慣れない日本での学生生活を、周りから支えて頂きますとともに、お互いの国の伝統や文化、習慣などについてグローバルな視野を広げる機会となることを、大いに期待するところでございます。

本年から本格導入した3年コースも含めて、2年あるいは3年という限られた短期大学での学生生活を、学生の皆さん一人ひとりどのように展開されるのか、非常に楽しみでございます。
正面緞張の上部をご覧ください。奈良佐保短期大学の徽章が、縫い込まれています。お手元の式次第にも印刷されています。
奈良の都のシンボルである八重桜を外側の輪郭とし、+人としての手本や模範を意味する鏡である、中国、唐時代の八稜鏡が、内側に二重におさめられています。
本学は、奈良女子大学の前身である奈良女子高等師範学校の同窓会「佐保会」によって創設されて以来、86年の歴史があり、この徽章は、奈良女子高等師範学校の徽章を参考にして、作成されたものでございます。
また、式次第の裏面にございます本学のシンボルマークは、奈良佐保短期大学のイニシャル、NとSをモチーフにし、スクールカラーの茄子紺を基調としてデザインされています。
奈良佐保短期大学の伝統と、若葉の間から太陽が昇る未来とを示しています。
このデザインは、両手で大切なものを包みこむように見え、曲線からは、羽ばたく躍動感を見ることができます。
これは、本学の建学の精神および教育理念にある「自己と他者を尊重し、教養見識をもって、自ら羽ばたき、社会に貢献する行動力」を表現しているものでございます。
入学生の皆さんには、この徽章やシンボルマークに込められた「素晴らしい伝統を受け継ぎ、人の手本となる生き方を通して、社会に貢献する」という精神を心に刻んで、これからの学生生活を実りあるものにしていただきたいと願っています。

さて、大学での学びは、専門的な基本の知識や技術を習得する「知識技術習得型学習」を基に、理論等を身に付ける学びと、その基礎的な知識や技術を踏まえて、様々な課題等に対して自分で答えを見つけ出していく学びがあります。この二つの学びをこれから皆さんは始めようとしています。
保育士や介護福祉士、栄養士など資格取得者として社会的に評価されている職業に就くための基礎的な知識技術は、レベルは高く授業の厳しさも半端なものではありません。
資格に対する社会の人々の信頼を裏切らないためにも、徹底してその能力を身に付け、即戦力を伴う実学を養わなければなりません。
ある学生が、「なぜそのようになるのか」と思いながら授業を受け、それが解き明かされていった時、今まで経験したことのないうれしさがこみ上げ、学びの面白さを実感したと語ってくれました。
まさに学問するとはどういうことなのかを会得した瞬間であり、その学生の気づきに心の中で拍手を送っていました。
また、常に、人との対応が求められる対人専門職では、そこで起こる様々な課題について正解は一つとは限りません。
皆さんが、自分で答えを出していかなければなりません。しかも、その対応が即座に求められることがしばしばです。
学外の施設実習やインターンシップなど実際の現場に出て体験し、自らの対応を振り返り、他者の考えを聴くなど、仲間とともに振り返り学習やグループディスカッションなどの学び合いを通して、自らが一番ふさわしいと思える答えを見つけ出していきます。
そこでも、基礎的な知識や技術を踏まえることは当然であり、独断や偏見は許されません。
昨今、専門職の不祥事などが伝えられる中で、その職に対する信頼を裏切らないこと、自らが誇りを持って職を全うできるだけの自信と学ぶことへの謙虚さを持つなど、社会人としての基礎力を身に付ける学びの厳しさは、一人では乗り越えることが非常に難しいものです。
しかし、本学では、同じ目的を持つ仲間が支え合いながら、未来の夢を語り合い、その困難を乗り越えていきます。
そのためにも、大切なことは、自分自身への信頼です。
自分のことが嫌いで大切に思えない人が、他者を大切に思えるでしょうか。
命をはじめとして自分のことを大切な存在であると認識する自尊感情を育むことです。
自分という殻に閉じこもっていては、学びは進みません。
殻から出て、ありのままの自分を出し、考えを言い合う仲間を見つけてほしいと思います。
ありのままの自分をさらけ出すことには勇気が要ります。
しかし、独りよがりにならないで、広い視野から物事を判断する力を身に付けなければ、他者を支えることなどできないでしょう。
本学には、学生生活の中で、何かをやりたいとき一緒にやろうと言ってくれる仲間が必ずいます。
自分はどういう人間なのか考え、自分を信じ、人を信じ、人に信じられる喜びを体験して、自分らしい優しさを表現できる人間になってもらいたいと思います。
これからの人生で、「努力は人を裏切らない」との思いを胸に、自分のエネルギーの火種となり、自分を励ましてくれる「素晴らしい思い出」が、心に残る、そんな大学生活になることを祈って、お祝いの言葉と致します。

(平成29年度入学式式辞より抜粋)