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教育研究案内


地域こども学科 こども教育コース
地域こども学科 こども保育コース/保育ソーシャルワークフィールド
地域こども学科 こども保育コース/音楽・スポーツ・自然と遊び・心と発達フィールド

中田 奈月

教授 博士

中田 奈月Nakata Natsuki

MESSAGE

私たちは誰かに出会ったとき,外見や振る舞いからその人を判断します.スカートをはくのは女性,病院で白衣を着るのは医師,といった具合に.「男性はスカートをはいてはならない」という法律はないのに,スカート姿の人を振り返ったら実は「男性」と分かった時、私たちは驚きや戸惑いを覚えるかもしれません.予想と実際とがそぐわないときに覚える,驚きや戸惑い,居心地の悪さ.そんなことをモヤモヤと考えるのが私のテーマです.

専門分野 社会学
担当科目 社会学,社会調査法,生活,家庭支援論,情報概論
趣 味 剥がすこと
長 所 おおらかなこと
短 所 大雑把なこと
名称 単著・共著 発行年・発表年 雑誌名・学会名
■著書
家庭の意義と機能 共著 2016 井村圭壯 今井慶宗編『保育実践と家庭支援論』(分担:1-11) 勁草書房
 「洟垂れ小僧」の変遷 共著 2014 現代風俗研究会編『かお』(分担:110-113)国際文化出版局
保育士・幼稚園教員は専門職か
共著
2011 小堀哲郎編『社会のなかの子どもと保育者』創成社
男女幼稚園教員・保育士のライフコース
共著
2011 小堀哲郎編『社会のなかの子どもと保育者』創成社
観測の方法 -考現学と社会調査法の理論と実践から
 共著
2009 現代風俗研究会編『駅前観測』新宿書房(分担:12-36)
ペット——気軽さと尊さのはざまで  共著 2000 鵜飼正樹 永井良和 藤本憲一編『戦後日本の大衆文化』 昭和堂 全337頁(分担:151-169)
調べ方ガイド——新聞記事  共著 2000 鵜飼正樹 永井良和 藤本憲一編『戦後日本の大衆文化』 昭和堂 (分担:170-171)
ペット——我々は彼らに何を求めてきたか  共著 1999 鵜飼正樹 永井良和 藤本憲一編『戦後大衆文化論』
京都造形芸術大学
全285頁(分担:127-143)
■学術論文
小学校社会科にみる社会調査 単著 2018 『奈良佐保短期大学紀要』特別号 奈良佐保短期大学
小学校生活科・社会科における「観察」の内容 単著 2014 『奈良佐保短期大学紀要』21号 奈良佐保短期大学
保育者養成課程の学生による「保育者」カテゴリーの付与と引受 単著 2008 『奈良佐保短期大学紀要』15号 奈良佐保短期大学
男性保育士として仕事を続ける——在学生・卒業生・現役男性保育士のワークショップ 共著 2006 『奈良佐保短期大学紀要』13号 奈良佐保短期大学
女性保育士における専門性と女性性——主観的キャリアの分析から 単著 2006 『社会学論集』第13号 奈良女子大学社会学研究会
奈良県保育所における男性保育士の現状と課題 共著 2005 『奈良佐保短期大学紀要』12号 奈良佐保短期大学:51-61
男性保育士による低年齢児保育の困難 単著 2004 『保育士養成研究』第21号 全国保育士養成協議会:19-27
「保育者」言説の変遷——厚生労働白書の分析から 共著 2004 『奈良佐保短期大学紀要』11号 奈良佐保短期大学:17-29
男性保育者による「保育者」定義のシークエンス 単著 2004 『家族社会学研究』第16号(1)日本家族社会学会:41-51
女性保育者のライフコース 単著 2003 『社会学論集』第10号 奈良女子大学社会学研究会:103-125
「男性保育者」言説の変遷 単著 2003 『家族関係学』第22号 日本家政学会家族関係学部会:82-91
「男性保育者」の創出——男性の存在が職場の人間関係に及ぼす影響 単著 2002 『保育学研究』第40号2巻 日本保育学会:8-16
ライフコースとキャリアの関係 単著 2002 『社会学論集』第9号 奈良女子大学社会学研究会:75-91
女性職の男性参入に関する研究の再検討 単著 2001 『人間文化研究科年報』第16号 奈良女子大学人間文化研究科:177-188
男性保育者のライフコース——コーホート分析 単著 2001 『社会学論集』第8号 奈良女子大学社会学研究会:51-67
男性保育者のライフコース——キャリアの実態を通して 単著 2000 『社会学論集』第7号 奈良女子大学社会学研究会:67-78
性別職域分離とその統合——男性保育従事者の事例から 単著 1999 『社会学論集』第6号 奈良女子大学社会学研究会:285-296
■学会報告
「男性」と「保育者」のあいいれなさの論理構造 単著 2005 関西社会学会第56回大会(於大阪市立大学)
男性参入がもたらす二つの問題
「男性保育者は本当に必要か!?保育者と"男性"保育者の間で揺れる"男性保育者"たち」
ラウンドテーブル 2001 第54回日本保育学会(於尚絅女学院短期大学)
男性保育者にみる保育観の変容——ライフヒストリーの分析から 単独 2000 日本社会学会第73回大会(於広島国際学院大学)
男性保育従事者のキャリア形成 単独 1999 関西社会学会第50回大会(於関西大学)
男性保育者をめぐる「保育」認識とその実践——面接調査の分析から 共同 1999 全国保母養成協議会第38回研究大会(於就実短期大学)
■報告書
短期大学と地域の連携を基盤とする専門職養成に関する総合研究 共著 2008 文部科学省
私学高等教育研究助成 (学術研究高度化推進経費)
地域の子育て環境づくりに向けての保育者養成における可能性と将来展望に関する学際的研究 共著 2005 文部科学省
私学高等教育研究助成 (学術研究高度化推進経費)
■研究助成>
地方自治体の行財政改革と公共財配分の社会過程に関する経験的研究 共同研究 2009-2011 文部科学省科学研究助成
性別職域分離と離職の関連についての研究 共同研究 2009-2010  文部科学省私学高等教育研究助成(学術研究高度化推進経費)
首都圏女性ホワイトカラーの保育環境に関する考察 共同研究(研究代表者) 2009-2010 日本証券奨学財団
地方自治体の行財政改革と公共財配分の社会過程に関する経験的研究 共同研究 2009-2011 科学研究費補助金
短期大学と地域の連携を基盤とする専門職養成に関する総合研究 共同研究 2006-2008 文部科学省
私学高等教育研究助成 (学術研究高度化推進経費)
性別職域分離の維持と変容のメカニズムに関する社会学的研究 個人研究 2004-2007 科学研究費補助金
地域の子育て環境づくりに向けての保育者養成における可能性と将来展望に関する学際的研究  共同研究 2003-2005 文部科学省
私学高等教育研究助成 (学術研究高度化推進経費)
男性保育者のライフコース研究  個人研究 2000-2001 笹川科学研究助成

研究室紹介:資料でみる男性保育者

私がこれまでしてきた研究のひとつに「性別職域分離」があります。とりわけ男性が少数派になる職業である保育者に焦点をあててきました。ここでは国勢調査抽出詳細集計から、職業と性別の関係についてみていきましょう。

1.1 職業の種類と男性の比率

「平成27年国勢調査に用いる職業分類 - 総務省統計局」(2015 6頁)によると、国勢調査では職業を、
(1) 仕事の遂行に必要とされる知識又は技能
(2) 事業所又はその他の組織の中で果たす役割
(3) 生産される財・サービスの種類
(4) 使用する道具,機械器具又は設備の種類
(5) 仕事に従事する場所及び環境
(6) 仕事に必要とされる資格又は免許の種類
によって分類しています。

分類は、大分類、中分類及び小分類という3段階構成になっています。大分類は12(AからLまでの12項目)、中分類は57、小分類は232に分けられます。たとえば「保育士」は、大分類では「B 専門的 技術的職業従事者」、大分類のなかの中分類では「社会福祉専門職業従事者」、小分類では「保育士」と段階的に振り分けられます。同様に「幼稚園教員」は、大分類では「B 専門的 技術的職業従事者」、中分類では「教員」、小分類「幼稚園教員」となります。

このように振り分けられている小分類232の職業の、総数に占める男性の比率を出し、それぞれ「男性の比率が0%から10%の職業」(表1)、「男性の比率が45%から55%の職業」(表2)、「男性の比率が90%から100%の職業」(表3)に分けると、それぞれ13、21、62の職業が該当しました。では、どのような職業が、男性の比率が高い/同じ/低いのでしょうか。比率と職業の種類について具体的にみていきましょう。

表1から表3までの職業が、大分類でどこに振り分けられているかをみましょう。男性の比率が高い職業分類をみると、「A 管理的職業従事者」「F 保安職業従事者」「I 輸送・機械運転従事者」「J 建設・採掘従事者」が多くを占めています。この4つは、男女の比率が同じ職業区分、男性の比率が低い職業区分では見られません。
男性の比率が低い職業の分類は、「B 専門的 技術的職業従事者」と「E サービス職業従事者」の2つの種類のみになりました。ただし、「B 専門的 技術的職業従事者」に振り分けられた項目は、男性の比率が高い職業や、男女の比率がおなじ職業でも見られる。サービス職業従事者も同様です。
男女が同じ比率の職業分類では「C 事務従事者」の多さが特徴です。「D 販売従事者」の比率も高いことがわかります。
ここからだけでも、職種と男女の比率は関係があることがわかるでしょう。

国勢調査ではそれぞれの職業の平均年齢が示されています。平均年齢についてみると、女性が多くを占める職業のほとんどは、女性のほうが平均年齢が高いことが分かります。逆に、男性が多く占める職業のうち6.5割は、男性のほうが平均年齢が高くなっています。男女の比率が同じくらいの職業は、先の2つの職業に比べても差はそれほど見られません。

表1 男性の比率が0-10%の職業(2015年国勢調査)

表1 男性の比率が45-55%の職業(2015年国勢調査)

表1 男性の比率が90-100%の職業(2015年国勢調査)

1.2.男性の比率が低い職業と年齢

男性の比率が0-10%の職業をとりあげて、年齢区分についてみていきましょう。

大まかにいうと、男女とも若い世代に偏っている職業、男性のみ若い世代に偏っている職業、女性のみ若い世代に偏っている職業、男性のみ高い年齢の世代に偏っている職業に分けることができます。
男女とも若い世代が多い職業としては「サービス従事者(美容師を除く)」があります。女性の5割、男性は7割が20代である。とりわけ男性の場合は、6割が25才未満です。

男性が若い世代に偏っているのは、男性保健師、男性歯科衛生士、男性保育士です。これらは法律改正によって男性参入が可能になったという共通点があります。男性保健師は、保健師助産師看護師法が改正された後の1994年、男性歯科衛生士は、歯科衛生士法が改正された2002年、男性保育士は児童福祉法施行令改正後の1977年(当時は「保母に準ずる)から男性参入が可能になりました。

男性が高い年代に偏っている職業は「家政夫 家事手伝い」があります。

男女の差があまりないものに栄養士があります。しかし小学校教員(男性の比率 36.7%)とは違いがあります。栄養士は、20代から30代が6割を占めるのに対して、小学校教員は4割弱です。栄養士が全体的に若い世代で成り立っていることがわかるでしょう。

図1 男性の比率が0-10%の職業と年齢区分(2015年国勢調査)

2 保育者と男性の比率

保育者とは誰のことでしょうか。保育者というと一般的には「保育士」と「幼稚園教諭」が該当するようにみえます。
では、保育所以外で働く保育者はどうでしょう。認定こども園に勤務する保育者はどちらにはいるでしょうか。

「平成27年度国勢調査に用いる職業小分類」によると、幼稚園教員には、「幼稚園園長,幼稚園教頭,幼稚園教諭,幼稚園助教諭,幼稚園養護教諭,幼稚園養護助教諭,幼稚園講師,幼保連携型認定こども園園長,幼保連携型認定こども園保育教諭」が含まれます。保育士には「乳児院保育士,保育所保育士,児童養護施設保育士,障害児入所施設保育士,児童発達支援センター保育士,幼稚園保育士,認定こども園保育士,一時保護所保育士」が含まれます。
「児童福祉施設長・児童指導員・児童厚生員,保育助手,障害者支援施設等寮母・寮父」は別のくくりになります。
保育所以外の児童養護施設で働く保育士は「保育士」に区分されますが、認定こども園で働く保育者は、「幼稚園教員」と「保育士」のどちらかに振り分けられるようです。
認定こども園は現在、「幼保連携型」「幼稚園型」「保育所型」「地方裁量型」と分かれています。2020年の国勢調査でどのような区分になるかは分かりませんが、いまのところ認定こども園に勤務する保育者であってもタイプによって区分が異なるようです。

では、改めて幼稚園教員および保育士数の変化をみていきましょう。
2015年でもっとも数が多いのは女性保育士、ついで、女性幼稚園教員、男性保育士、男性幼稚園教員という順になっています(図2)。
男性幼稚園教員と男性保育士に限定してみると(図3)、2005年に男性保育士と男性幼稚園教員の数が逆転して以降、男性保育士数が急激に増加していることがわかります。
男性幼稚園教員は1985年から2015年まで、6%ほどで推移しています。変化が大きいのは男性保育士ですが、2010年と2015年の伸び率はそれほど高くないことが読み取れます。

図2 男女保育者と比率(国勢調査結果を中田が加工)

図2 男女保育者と比率(国勢調査結果を中田が加工)

図3 男性保育者と比率(国勢調査結果を中田が加工)

図3 男性保育者と比率(国勢調査結果を中田が加工)


国勢調査結果からも様々な結果が分かったと思います.増加の状況,年齢比,地域の差などは,その職業の特徴を表しています.今後も,性別職域分離がどのようになるのか,注目していきたいと思います. ※参考 中田奈月,2011「男女幼稚園教員・保育士のライフコース」,小堀哲郎編『社会のなかの子どもと保育者』創成社.