大きなランドセルを背に、額に汗して、5、6人の小学生が電車に乗り込んできました。
ホームでの待ち時間の話題をそのままに、皆で懸命に話をしています。内容は分かりませんが、今日のクラスでの出来事のようでした。東京にいて普段は会うことのない孫と同じような年格好の小学生に孫の姿を重ねながら、その一生懸命な様子に見入っておりました。
「あんたたち、何年生? 2年生? 3年生? 」近くに座っておられた年配の女性が、男の子たちに声をかけられました。孫と同じ年かなと、私も答えを待っていました。
「何年生?」「・・・」 暫らく沈黙です。もう一度「何年生?」「・・・」
すると女の子の一人が、「言われへんねん」
「どうして?」
「そういうことを話したらいけないと言われてるの」
「学校の先生に言われてるのね。聞いてごめんね。それなら、この子が話してくれたように、最初に、決まってると言うてくれたら良かったのに。黙ってたら、おばちゃん、困るでしょ。」
昨今の何が起こるか分からない世の中で、児童が危険な目に遭わないように、個人情報などについても、学校がきめ細かくご指導されているのだと思いました。
誰とでも気軽に話が出来ない今の時代の窮屈さの中で、子どもたちが、大らかに育つことの難しさを改めて感じました。
最初に尋ねられた男の子は、突然のことで、どのように答えればいいのか戸惑ったことでしょう。
しかし、沈黙が続く中、勇気を出して答えた女の子に「よくできました」と、心の中で花丸を出していました。人との関わりで大切なコミュニケーションの基本がしっかりと芽生えていると頼もしく思いました。
それにしても、「何年生だったのだろう?」が、今も心に残っています。