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学長メッセージ

平成25年度奈良佐保短期大学入学式学長式辞

2013.04.03

今、奈良佐保短期大学への入学を許可され新入生となられた皆さん、ご入学おめでとうございます。
ご家族の皆様におかれましては、お喜びもひとしおのことと心からお祝い申し上げます。また、後援会を始め同窓会「あせび会」や本学園理事・評議員、さらには実習等でご指導いただいております施設の皆様など、ほか多くのご来賓にご臨席賜りまして、誠にありがとうございます。高い所からではございますが、厚く御礼申し上げます。
本日、入学を許可された者は、生活未来科72名、地域こども学科82名、専攻科11名、合計165名でございます。この中に、社会人選考合格者16名 、留学生合格者2名が含まれています。また、昨年に引き続き、本学と交流協定を結んでいる中国大連大学からの交換留学生が新たに2名来学し、合計3名となりました。
中国やベトナムなど日本と伝統や文化、生活習慣などが異なる国の人々とともに学び合うことで、互いにグローバルな視野を広げることができると期待しています。また、社会経験のある人との日常的な交流を通して、現実の社会の情勢やその中で働くことの意味、さらにはそれぞれ人が、価値観を越えて互いに認め合うことの大切さなど、授業以外でも多様な学びが展開されることでしょう。
本学が、高等学校から直に進学する高等教育機関としてだけではなく、生涯学習時代に対応して、社会に出てからも学び直し、その学びを活かすことができる教育の実施機関として、その役割が期待されていると実感しているところでございます。
さて、入学生の皆さん、皆さんは、奈良佐保短期大学での大学教育に、何を期待されているのでしょうか。
保育士や幼稚園教諭を目指して地域こども学科に、あるいは介護福祉士や栄養士、ビジネスに携わるスキルや資格を目指して生活未来科や専攻科に入学されてきたことでしょう。もちろん、大学では、専門職としての知識や技術を学び、資格取得に必要な基礎力を身につけるカリキュラムは備えられています。
しかし、資格やスキルの取得は、誰かがどうぞと持ってきてくれるものではありません。自分で獲得するのです。
「子どもが好きだから」「料理が好きだから」は、資格を目指すきっかけにはなりますが、それだけでは、保育士や栄養士にはなれないのです。勿論、皆さんは、十分理解されておられることとは思いますが。基礎的な知識を学び、その知識を活きたものにする技術や対人関係など社会人としての基本を、実習や様々な教育活動を通して身につけ、資格に相応しい資質を備えていかなければなりません。
大学での学びは、高等学校までのように、例えば「決まっている答としてのA」にたどりつく方法を学ぶだけでなく、「なぜ、その答がAなのか」と問題を出し提起して、明確にしていく学びなのです。「なぜ」と問うことから出発し、科学的な根拠に基づいた分析を加えて、解決していくのです。
正に、大学は、問題を解決していく力を養う場なのです。
授業や実習で疑問に思ったことを、仲間と議論し合い、思いも寄らない考え方に感動したり、新たな発想を展開させたりしながら、答に迫っていきます。大学のこのような学びの楽しさを、味わっていただきたいと思います。
皆さんには、自分では気が付いていない、計り知れない力があるのです。その力を引き出すお手伝いをするのが、本学の教職員集団です。自分に妥協しないでください。「甘えないで!」と、先生から言われることがあるでしょう。それは、他者に対してではなく、「自分に甘えるな!」ということなのです。
私たちと一緒に、皆さんの可能性を見極めようではありませんか。
次に、知識や技術が秀れ、資格が取得できたとしても、真の専門職とは認めてもらえないのです。
「どんなに学問に秀いで、言動が厳しく正しいものであっても、人は、信頼されなければ、力を発揮できない。」と言われるように、専門職に必要なものは、確かな知識や技術に加えて、人から信頼される心の豊かさなのです。保育士、介護福祉士、栄養士を初めとして、皆さんが志望する職業は、子どもや高齢者、障がいのある人など、いずれも、様々な人との係わりが必要不可欠なものばかりです。人の心にせまり、その人に受け入れられる人間が求められます。人に対する優しさや温かさなど豊かな人間性は、持って生まれたもの・天性のものと言われたりもしますが、私はそうは思いません。訓練することで身につくものだと思っています。
まず、「感動する心」を鍛えてください。
本学には、自然公園、里山、農園など四季折々の豊かな自然や人を思いやる仲間づくりなど、心動かされる環境が、日常の学園生活の中に多くあります。美しいものを美しいと、素晴らしいことを素晴らしいと感じ、感動する心を自分流で鍛えてください。そして、保育士になれば、子どもたちに感動する心を伝えてあげて欲しいと思います。
結びに、今という瞬間は、一瞬一瞬で今ではなくなり、過去のものとなっていきます。皆さんの、限りある、一度しかない自分の人生を、無駄にしないで、成りたい自分に精一杯チャレンジしてください。
夢は描かなければ実現しません。
誰一人として「ほっとかない」きめ細かい教育を実践する奈良佐保短期大学で、皆さんが、学園生活を大いに楽しみ、生涯、自分を励ます宝となるものを見つけ出しますようにと念じて、お祝いの言葉と致します。

平成25年4月2日
奈良佐保短期大学長
馬越 かよ子