暦は既に冬を迎え、本学構内の木々も葉を落とし始めています。晩秋の季語である「柿紅葉」が美しい季節でもありますね。そんな中、11月16日㈪に奈良県農業研究開発センター加工科総括研究員の濵崎貞弘氏を講師にお迎えし、レストラン鹿野園共催の特別講座「柿よもやま話」を開催しました。
濵崎氏は「柿博士」と呼ばれている方で、柿の歴史や伝統文化、民間伝承、衣食住の生活と密着した様々な機能性、新しい研究の取り組みなど、柿にまつわるたくさんのお話を伺うことができました。
奈良県は和歌山県についで収穫量全国2位を誇る柿の一大産地であり、柿は私たちにとってとても身近な果物ですが、意外と知らないことが多くて驚きました。
日本にはなんと約1000種類もの柿があるそうで、濵崎講師が20種の柿を持って来てくださいました。色も形も大きさも、こんなに様々あるんですね。柿にまつわる昔話や伝承が多いのも、私達の生活に密着している植物だからだと言えそうです。
また、多くの柿は種が出来てから渋みがなくなったり減ったりしますが、種に関係なく渋みが消える完全甘柿の「御所柿」は、江戸時代に奈良県御所で初めて出来た日本独自の柿だそうです。
「柿が赤くなると医者が青くなる」と言われるほど、柿の栄養価の高さは昔からよく知られており、今でも民間療法では二日酔い防止や高血圧予防になるとされています。しかし、柿の渋みである柿タンニンはポリフェノールの一種でいろんなものと非常に結合しやすいので、いくら体に良いからといっても食べ過ぎるのは良くないそうです。
鉄分と結合すると鉄欠乏性貧血の恐れがありますし、食べ過ぎると腸内でいろんなものとくっついて固まってしまいます。東北のお年寄りは柿が大好きな人が多いので、毎年1~2人、腸閉塞で亡くなる方がいるそうです。朝晩1個ずつぐらいなら問題はないということなので、ほどほどに楽しみたいものですね。
また、柿は特にタンパク質と結合しやすいため、絹やウールの繊維に色が付くと取れないそうです。濵崎講師がされていたネクタイも、柿渋で染めたものでした。
渋柿の渋の抜き方にもいろいろあることを知ることができました。
最後に本学の食物栄養コースの学生が作った「照柿チーズケーキ」を試食していただきました。
照柿チーズケーキ
試食風景
今回がレストラン共催特別講座の最終回でした。
来年度も地域の皆様に喜んでいただけるいろいろな講座を企画したいと思っていますので、奮ってご参加ください。どうかよろしくお願い致します。
地域・国際連携センター