奈良佐保短期大学公開講座2015 奈良佐保短期大学・レストラン鹿野園 共催 人生がキラリと輝く特別講座 「私たちの奈良をもっと知りたい…奈良の食べもの」第1回を7月4日(土)に開催しました。
テーマは『奈良のお茶』で、日本茶インストラクター協会奈良県支部にご協力いただきました。はじめに、支部長(茶文化研究家)湯浅 薫氏に大和茶の起源、奈良県(大和国)における茶業の展開、お茶の効果についてご講演いただきました。806年に空海(弘法大師)が唐から茶の種を持ち帰り、佛隆寺の地に播種したことが最初の栽培であり、嵯峨天皇がお気に召し畿内の国に命じてお茶を植えさせ、毎年献上させようとされたことが「日本後紀」に記されているそうです。お茶といえば、京都・宇治のイメージが強いですが、茶の湯を始めたのも奈良の珠光(村田珠光)だったとのことで、奈良とお茶は切っても切り離せない強い繋がりがあることを実感しました。
また、生活に活かせるようにと、緑茶の保存方法やお茶の淹れ方のガイドライン、おいしく淹れるためということで様々なことを紹介していただきました。
講演の後は、奈良県北部農林振興事務所の宮本大輔氏に実際にお茶のおいしい淹れ方を教えて頂き、参加者は2人1組で急須と湯呑みを使って実際にお茶を淹れ飲み比べました。茶葉は奈良県月ヶ瀬と柳生の旨味が最も多い一番茶の煎茶をご用意いただきました。
一煎目は60℃くらいで1分半、二煎目は少し高めで1分、三煎目は更に高い温度で30秒。色も薄く、甘い旨味を感じるお茶から徐々に苦味、渋み、香りなどが加わり一煎毎に違う味に変化していきました。お菓子と共に、参加者各々が自分の好みは何煎目か、また、普段はどんなお茶を飲んでいるかなど話も広がり、お茶を通して楽しい時間を過ごすことができました。入れ終わった茶葉も今回はポン酢をかけて試食しました。鮮やかな緑の茶葉は軟らかく、まるで菜っ葉のようでした。
今回は、普通ではなかなか口にすることができない碾茶(抹茶の原料になる葉)の水出し茶の試飲や、農林水産大臣賞一等受賞茶の茶葉を見ることができ内容盛り沢山の講義となりました。
最後に、湯浅氏より、お茶は色々なお茶がある、飲む場面も様々。食事の時、水分補給時、お茶を楽しむ時など目的に合せてお茶の種類も使い分け、自分流のお茶の淹れ方、飲み方を見つけてほしい。淹れ方も何度か試して個々によって違うおいしいポイントを探し、いつものお茶をもっとおいしく楽しんでくださいと伝えられました。
参加された方からは、「茶葉をサラダのように食べることができるなど、初めて知ることも多くあり、勉強になりました。」「お茶の飲み方がよく分かりました。」などの感想をいただきました。
本講座は日本フードスペシャリスト協会「一般向け食の啓発事業」に採択され、補助いただきました。本事業にご協力いただきました公益社団法人日本フードスペシャリスト協会、日本茶インストラクター協会奈良県支部に厚く御礼申し上げます。
食物栄養コース 島村 知歩