2019年08月22日
山里で生まれ育った私にとって、ホタルが乱舞する様はごく当たり前の光景です。
環境の変化で飛び交う数は少なくなったとはいえ、現在もさほど大きくない川で生命の営みを繰り返しています。そのたくましさには驚かされるばかりです。そんなホタルがやってきてはひと休みするツバキの木が我が家にありました。ホタルにツバキ、おかしな組み合わせかも知れませんが、それがなかなかのものなのです。
ところが、このツバキを事情があって、切り倒さなければならないことになりました。陽のあまり当たらない場所にありながらも、しっかり地に根をおろしていただけに残念で仕方ありませんでした。そして、一年半あまりの間、切り株だけが無残な姿をさらしていました。このまま朽ちるのかと思っていたところ、今年なんと芽が6つ出てきて伸び始めているのです。枯死していなかったことに安堵するとともに、これほど傷め付けられても屈しない生命力に圧倒させられました。ホタルにしろツバキにしろ、厳しい環境や条件の下で「生」を見事に貫く姿は、人知の及ぶところではないと感じます。大きくなったツバキをホタルが見付け、そして体を休めるまでにはしばらく時間がかかることでしょう。
命あるものをひたすら育むこの山里の自然に私も包まれ、生かされているのだと改めて思い至るとともに、 生き抜くことの意味を実感したところです。
地域こども学科 西岡 由郎